信愛病院ホスピスブログ Vol.38 ひな人形に思いを寄せて

お茶先日、緩和ケア病棟でひな祭りをおこないました。病棟にひな人形を飾って、入院している方、家族の方、ボランティアの方にも参加していただき、ひなあられや道明寺を食べながら、歌をうたい楽しみました。緩和ケア病棟では、季節感を楽しんでいただくために、生活感を取戻すため、このような季節の催しをおこなっています。

病棟にかざったひな人形は、写真のように立派なものです。最近では、見かけなくなってしまいました。ひな人形が病棟に飾られると、もうこんな季節になったのか、もう一年たったんだと思います。まだ、吹く風は冷たいですが、もう春は目の前になっていたのですね。

入院している方への催しですが、自分自身への癒しになっていることに気がつきます。私たちは日々仕事仕事と、季節や自然の移り変わりに目を向けることなく生活しています。季節の移り変わりが疎ましく思ったりします。おひな様を見ていると、自然の時間の流れを感じることがないまま、心を亡くひな人形して生活していたことに気付かされます。ふと、立ち止まって、ゆっくりとした自然の時間の流れを感じることは、心を亡くさないためにも必要なことなのでしょう。

昨年の3月は東北大震災があり、それまでの私達の生活が一変しました。やっと、もう、一年が過ぎてゆきました。亡くなられた方にはご冥福と被災された方に一日もはやく穏やかな生活が回復されますことをお祈りいたします。

記:医師(高世)